2017.04.04 淡水魚の水槽内に於ける窒素循環に関して

昨日から書いていたのですが、更新をし損ねました。あとで見返したら長くなりすぎました。


内容は基本的なことになりますが、やや捕捉を加えて主観的に書いております。





魚の閉鎖系での飼育に於いて窒素循環は切っても切れない密接な関係が有るものだと思います。


簡単な流れとしては、バクテリアの働きでアンモニアが亜硝酸になり最終的に硝酸になったものが場合によっては窒素になって空気中に出ていくという流れになると言われています。


この過程のそれぞれの状態について解説していきます。

アンモニア

淡水魚においてアンモニアは主に魚の鰓から排泄されます。

糞からでるものよりも鰓から排出される量の方が上回ると考えた方が良いと思います。


PH及び水温により状態が変わりどちらも低い場合はアンモニウムイオンになりやすくなります。

アンモニアと比較するとアンモニウムイオンに関しては殆ど害は見受けられないものになります。


アンモニアによる弊害は主に高水温、高PHの時に限定的に顕れ、粘膜の異常(体表や鰭及び眼球の白濁、若しくは体表や鰭の出血)や神経症害(異常遊泳)があります。どちらの症状もその後濃度が落ちれば直ぐに回復するイメージです。


淡水に於いては不可逆的なダメージを受けることは稀と思われます。


水槽内からの除去は水かえで比較的下げやすいイメージです。

亜硝酸

アンモニアからの硝化作用で発生します。

条件によっては硝酸塩が還元反応によって生じる場合もあります。


硝酸ほどではありませんが、酸性に水質が傾きます。


亜硝酸の弊害としてはメトヘモグロビン血症による酸欠、鰭の先端が酸欠により壊死する場合もあります。

淡水の水槽の立ち上げ初期に於いて死亡原因になる物質です。


死亡まで至るものは個体差が著しいですが、代謝が全般的に低下するため成長が阻害されます。


代謝の低下により免疫力の低下も引き起こし、感染症になりやすい状態になるため、場合によっては臓器に不可逆的なダメージを与える場合があります。


水かえにより濃度を下げることは困難です。

アンモニアからも硝酸塩からも発生する可能性があり、ろ過器や全ての飼育水を取り除かない限りは取り除けないと思った方が良いです。


発生を抑えるためには給餌量を抑えると濃度は上がりにくくはなります。

新しいろ材を追加することで微生物環境の遷移を進めることで比較的早く濃度を下げることができます。

硝酸

殆どの場合水槽内では、何かしらの塩基と結び付き硝酸塩となっています。

亜硝酸から硝化により発生し、所謂強酸になります。


脱窒の機構が無い環境では硝化反応の最終産物として蓄積していく形になります。


弊害としては、蓄積した場合に免疫力の低下及び、水が酸性に傾くことによる粘膜への障害(眼球や体表の白濁)もしくは鰓や消化器への障害が発生することがあります。


プレコや金魚等は特に低いPHには弱いので注意が必要です。


淡水に於いては水かえによる除去が基本になります。

脱窒はセラミックろ材や底砂の内部でも起こりますが、安定性にかけます。

管理の上での危険性と留意点について

説明だけだとどれも危険なものとなりますが、魚を飼育する上でどうしても発生することにはなります。


危険性だけで言えば最も危ないものは亜硝酸になります。

最悪の場合魚が突然死したように見えてしまうこともあります。成長も阻害され免疫力も低下するため、なるべく低濃度で抑える必要があります。

立ち上げ初期には給餌量を抑えてフィルター器具の二段階導入がリスクが低いと思われます。


アンモニアに関しては魚がダメージを受けるほどの濃度になれば、水槽が白濁する若しくは臭いがする等の人間から見ても異常の分かる状態になっていると思います。鑑賞する上で必然的に取り除かれる場合が多いです。

それでも、放置した場合には何かしらの異常が魚に発生する危険性がありますので、対処は怠らない方が良いです。


硝酸塩に関しては一番毒性が低いとは言われますが、あって良いものとも言い難いものになります。

危険性の全く無いものでもないので仮に低PHの維持をする場合でも、硝酸塩に頼り過ぎずに腐植酸のようなものが無難だと思います。

金魚やプレコ、その他低いPHに弱い魚を飼育する際にはこちらも成長を阻害する因子となりかねません。好気性の生物ろ過を利用する場合こまめな水かえが肝要となります。



全て状態に於いて危険性が違いますので、自分の飼育スタイルに合わせた管理方針を見いだす必要があります。


飼育スタイルと管理

要約になります。


通常の生物ろ過の立ち上げに於いて全ての物質が発生することになります。


立ち上げの過程に於いて一番注意が必要なのは亜硝酸になります。基本的検出されないことが望ましいものです。

微量でも弊害が大きいため立ち上がりに関してはこれが落ち着くのを待つことになります。この際アンモニアに関しては極端なアルカリ性の水質でなければ無視してかまいません。殆ど無害と見た方が良いです。


ろ過器を用いた管理に於いては立ち上げの亜硝酸を乗り切ったあとであれば硝酸塩をPHの側面から管理するのが一般的で楽です。

PHはコーラルサンドやカキガラである程度干渉作用をつけることはできますが、総硬度がかなりあがることになります。魚の種類によってはこれで不調になるものもいますので、出来る限り水かえをメインに管理する方が理想的です。


ろ過器を用いない管理においては、アンモニアだけを気にすることになるので、開き直れば水かえのみで管理することになるのでシステムに気を使わずに楽になります。一番危険な亜硝酸も水かえを詰めてやっていれば発生はしません。金魚やメダカでこのスタイルをとることが多いですが、稚魚の育成にも理にかなう点もあります。

アンモニアは亜硝酸とくらべれば成長を阻害しないので、短期的に伸ばす場合や、病気のトリートメントに関しても有効になると思います。

個体密度や水温等の差で結果に違いもありますので、感覚でなれていく管理方になると思います。






長くなりましたが、本文の方は以上になります。


昨日今日でアピストグラマのほうにややトラブルがありました。




端的に言うとミウアの稚魚が全滅してしまいました。

原因は恐らく水槽内における微生物の生態系が不完全だったのだとおもいます。


もうひとつアルアの卵も事故に因り全滅となってしまいました。


以下死因についての考察になります。

死亡した直後のミウアの稚魚の多くが写真のように総排泄口から消化管が飛び出すような形になっており、恐らく何らかの感染症と思われます。


ビタエニの稚魚も水槽に移す際に数日たってから5匹ほど死亡していたのでろ材の引き継ぎが不味かった可能性が濃厚です。


次回はろ材も新品を用いて立ち上げから入るかプラケースで1cm程度の免疫力がつくまで育てるかといった対策を打とうと思います。

そういう事情もありましたが、再び同じミウアのペアが産卵しました。今回は前回よりさらに数が多いです。

3桁はありますが数えておりません。


三度目の正直で今回こそは成功させたいです。


ウィルヘルミィはいまから掃除です。

現在17時39分。






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死亡は恐らく0です。数えていません。